彦根商工会議所創立80周年を機に立ち上げた女性会事業部会委員会にて、会員アンケートを実施しましたところ、「女性会の先輩会員から経営や女性会活動についてのお話を聞きたい」との声を多数頂戴したことから、「先輩会員にお話を聞く会」を3回にわたり開催しました。(会議所80周年女性会事業部会委員会 担当事業)
和田旱子さん、棚橋幸子さん、松永雅子さんより、これまでの歩みを振り返り、事業経営に携わる女性として、また当女性会の元会長・元副会長としての女性会への思いなどをお話しいただきました。
第1回 平成30年10月30日
「人生80歳を迎えまして」
彦根急送㈱ 和田 旱子 さんのお話
これまでの人生を振り返り、彦根に生まれ、学生時代、21歳での結婚、ご夫婦での起業、経営、闘病や介護、その中での代表取締役交代、責任の重さ、女性会活動で得られたもの、今年6月の事業承継まで語っていただいた。
当時の時代背景や、顧客、特に従業員との関わりについては質問もあり、長きに渡り信頼関係を築いてこられたことを教えて頂いた。会議所女性会については創立時からのメンバーで、異業種で事業に携わる立場の女性との多くの出会いがあり、悩みは違っても何でも話せる仲間がいた事が当時も今も大きな支えとなっている事などお話しされた。
和田 旱子 さん
第2回 平成30年11月9日
「今 思うこと~貴重な経験を経て~」
㈱棚橋食品 棚橋 幸子 さんのお話
伸び伸びと大切に育てられた娘時代のお話から始まり、やりたい事や望む職業など自分で選べない時代のこと、両親からの助言で経理事務所に勤めたこと、本当は地元から飛び出して好きなことをしてみたかったと語られた。
続いては結婚し、㈱棚橋食品の経理を担当されていた頃に起きた脅迫事件のお話。豆腐も油揚げも飛ぶように売れ、工場への人・車の出入りも多かった1980年代半ば、会社で給与計算をしている最中に「大金を支払え」との脅迫電話がかかり、犯人の指示に従い自分ひとりで車に乗り込み会社を出発、警察と連携し勇敢に行動され、無事に犯人逮捕につながった。今も昔も、形は変わってもあってはならない事件があり、常に我が身のこととして意識し、日々学んでいくことが大切とお話しされた。
棚橋 幸子 さん
第3回 平成30年12月7日
「今も、働けることに感謝して」
松永縫工所 松永 雅子 さんのお話
ご自身が嫁がれた時代と比べ、女性の地位が向上した今は良い時代と感じる。神風特攻隊の一員だったご主人は零戦パイロットとして待機中に終戦を迎え、無事に帰ることができた一人。結婚後、工業用ミシンを購入し、和装に洋装の要素をプラスして工夫した縫製品を作る事業を開始された。高度成長期で仕事も多く、講師としても忙しくなり、技能五輪への参加等で家を空けざるを得ないことも多かったが、ご主人の「成長の芽を摘みたくない」との言葉で送り出してもらった。平成となり、同居の母の介護のため学校を辞める決意をしたが、他からも先生としての依頼があり、また技能五輪の国際大会審査のため海外出張等もあり、何度も諦めようとするなか家族や従業員の皆さんの大きな支えがあって仕事を続け、叙勲を受けた際は感無量の気持ちだった。同居の母から心から頼りにされていることを日々実感し、仕事に出るときも可能な限り共に行動されていた。大変と思わない時が無かった訳ではないが、この時間があったからこそ周囲の思いやりと優しさに気付くことができ、心を通い合わせ過ごした日々が何とも幸せだったとお話しされた。今82歳と齢を重ね、多くの支えがあり今も仕事を続けることができていることに感謝していると締めくくられた。
松永 雅子 さん